「これからのマーケティングに役立つサービス・デザイン入門」を読んだメモ
「これからのマーケティングに役立つサービス・デザイン入門」を読んだメモです.
読む前に設定した「知りたいこと」
- サービスデザインとはなにか,を言語化できるようになる
- カスタマージャーニーの概念と具体的手法を知る
全体
- サービスデザインにおける思考や精神が身につく本で,手法やフレームワークの具体的手法の解説は少ない
- 「解説:日本のサービスデザインの現場」の章で述べられていたが,カスタマージャーニー(に限らず,あらゆるフレームワークや方法論)を使えば問題が解決すると誤解されている例が多いが,なぜそれをするのか(Why)の理論と精神を身に着けないと効果はないと感じた
- その意味でも,具体的手法を実践する前に読むと良い本だった
序章
なぜ(why)?
- ほとんどのことが決めつけや仮説のままシステム化されてしまっている(お役所仕事)
- 「なぜ」(それが必要なのか,その方法なのか,使いづらいのか)を考えることが必要
サービス・デザインとは何か
- ビジネスを顧客目線で体系的に編成する取り組み
- UX(顧客付加価値)を提供することを目的とする
- 購入時点のみならず製品・サービスのライフサイクル全体をデザインする
- 情報を常に正しく提示しないと満足度は下がる
- Whatが衛生要因になったいま,Howが価値を生む
- ここではHowを思考せよとあったが,もっというとStart With Whyが重要なのだろうと感じた
なぜこのプロセスをデザインと呼ぶのか?
- デザインとは価値観やアイデアに形を与えること(無形→有形)
- 理解しやすく,使いやすく,識別しやすく,美しくあることが良いデザイン
- 問題定義のためにカスタマージャーニーマップ,仮説検証,タッチポイントを考える
カスタマー・ジャーニー
要求は決して「もの」ではない
- 顧客の目線で世界を見る
- リアルで意味のある世界にするために対象グループ,ペルソナを規定する
- 購入のタイミングだけでなく,前後・背景を含めライフサイクル全体を考える
- ペルソナから見る世界をモデル化するためにカスタマージャーニーマップ,共感マップを利用する
- 顧客の大半は苦情を訴える行動を取らない(立ち去る方がコストが安い)ので,苦情の発生はその背後に潜在的な苦情が10倍程度あると認識する
- 疑問:ペルソナは考えようと思えば無数に考えられる.必要なペルソナを設定・選定する指針は?
- 同僚のデザイナの人に教えてもらった
- 例えば
- 対象のサービスの特性から考えられるユーザグループを,相反するユーザ特性を考慮して軸で分ける
- 例えば,2軸でユーザグループを分け,各象限ごとに代表的なペルソナを作る
- 単に設定したペルソナだけではなく,上記ユーザグループの全体像があると,ペルソナの妥当性(そのペルソナが対象ユーザに当てはまること,例外的でないこと)を他者へ説明する際も,論拠がしっかりする
仮説の検証
- 量的データ・ビッグデータには過去の購入した情報だけしかなく,背景・カスタマージャーニー・Whyが含まれていないので,トレンドを把握するには役立つが,思考や感情を洞察するには役立たない
- インタビュー,グループディスカッション,ワークショップを正しく行い洞察を得るためには,注意深い設計とファシリテーションが必要(対話法,観察法の習得が必要)
顧客接点(タッチポイント)
- 事業体が提供する価値と顧客が受け取る価値が食い違っていないかに注意する(機能や性能がすでに衛生要因になっていないか,など)
- テクノロジの進化と現実世界の課題・変化により,顧客は不満を表明し公にする強い力を得た
- カスタマージャーニーの中で,顧客が受け取る価値が最も高い顧客接点を考察し,その場面のUXを高める
この種の課題への組織的な取り組み
- 責任者の不在,組織のサイロ化は耳の痛い話で,サービスや製品の改革以前に組織改革が重要という主張は素直に同意できた