「イノベーションのジレンマ」を読んだメモ
「イノベーションのジレンマ」を読んだメモです. 個人的メモなので,網羅的ではなく,自分の気になったところや重要に感じたところをまとめてます.
cf. イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press) | クレイトン・クリステンセン, 俊平太, 玉田, 弓, 伊豆原 |本 | 通販 | Amazon
本のあらすじ
- ディスクドライブ業界や掘削機業界におけるメーカの栄枯盛衰と持続的・破壊的イノベーションの関係から,なぜ実績のある企業が新興企業に負けたのか分析する
- 破壊的イノベーションとは何か,破壊的イノベーションを起こせない原因は何か,を事例を交えて分析する
- 破壊的イノベーションに対応するために,実績のある企業はどのような方法をとるべきかを提案する
バリューネットワークとイノベーション
- バリューネットワーク(以下VN)とは,製品・市場・メーカ・利益・コストの階層構造や関係性のことで,異なるVNにおいて求められる性能や,性能対価格は異なる
- 技術(により構成されるシステムや市場)パラダイムとも言える
- 企業はVNの中で顧客ニーズの認識,問題解決,資源調達,利潤追求を行う
- VNの異なるイノベーションは異なる指標のS字カーブ(時間対性能)を描くので,既存VNに留まると,気付いた時には新VNが成長して,時すでに遅しとなる(本の図2.6)
- 既存VNの中で持続的成長を追求するのが持続的イノベーション,新規VNを成長させるのが破壊的イノベーション
イノベーションのジレンマ(なぜ実績のある企業が破壊的イノベーションを実現できないのか)
- 実績のある企業が技術開発,研究,リスクテイク,積極的投資をしていないわけではない
- 実績のある企業は,VNの中で経済的価値を正しく実現することで持続的イノベーションは行うが,破壊的イノベーションには投資しない判断をする(そのVNにおいては正しい判断)
- VNが異なるとコスト・利益構造も異なるので,投資家・経営者は利益率の高いVNでのイノベーションを選択することになる
- 上位のVNにおいては,研究開発やマーケティングやマネジメントの管理コストが高く,市場規模と利益率が小さいVNへの移行は意思決定されない
- 実績のある企業におけるVNでは,顧客ニーズと利益の追従を善とする
- 破壊的イノベーションにおいては「顧客の声に耳を傾けよ」は必ずしも有効ではない
- 顧客ニーズが企業を持続的イノベーションへ向かわせる
- 大企業の効率的な資源配分システムは,破壊的技術のような提案を合理的にシステマティックに排除するようにできている
- 技術革新,顧客のニーズを組んだ適切な投資,安定で高収益化につながる意思決定をしているからこそ
- 意思決定者,顧客のみならず,VNの財務構造,構成要員,組織文化,評価基盤すべてに束縛される
破壊的イノベーションへの対応
- 破壊的イノベーションを適切な顧客に結びつける
- 顧客のニーズにより,破壊的イノベーションに必要な資源が集まる
- 小さな独立した組織(新会社,独立企業)を設立する
- 小さな機会や小さな勝利にも前向きになれるようにする
- 規模を小さく保ち,独立性を保つ
- 既存組織の価値基準とプロセスと共存させるのは難しい
- 資源配分プロセスを独立させる
- 主流市場の持続的イノベーションとして売り出す(主流市場で利用できるまで技術がまで待つ)のではなく,破壊的技術の特徴が評価される新しい市場を見つける
- ただし,同じイノベーションが持続的か破壊的かは企業(の既存の価値基準やプロセス)によって異なる
- 人々の声に耳を傾けるのではなく,人々がどのように製品を使うのか観察する(不可知論的マーケティング)
- 失敗を早い段階でわずかな犠牲にとどめる
- 破壊的技術の場合に必要なのは,実行のための計画ではなく学習のための計画
- 最初のアイデアにすべてを賭けず,試行錯誤し学習と挑戦を繰り返す余裕を残しておく
破壊的イノベーションの考え方
- 歴史的には,技術が供給過多になると破壊的イノベーションが発生しやすい
- 破壊的技術の指針
- 単純で信頼性が高く,便利
- 特徴,機能,スタイルを短期間に低コストで変更可能
- 機能単位の価格は高くても製品価格は低くする
- 製品・技術の弱みが強みになる下位市場を開拓する
- 破壊的技術を持つ組織の買収や統合により,そもそもの価値の源泉を潰さないよう注意する
所感
- 持続的イノベーションのためのプロセス・価値基準を破壊的イノベーションと共存させることの難しさには共感した
- 組織がある程度の規模になると,持続的イノベーションのために組織が最適化されて,収益性や顧客ニーズが企業をリードし始めるのを強く感じる
- 破壊的イノベーションを起こすために新組織を設立したのに,それらを共存させようとしてしまっている例をよく聞くが悪手だと感じる
- 主流市場で利用できるまで技術がまで待つというのは,自分でもよく思考しがち(「まだ使えるレベルじゃないね」で断念してしまう)なので,破壊的技術の特徴が評価される新しい市場を見つけるという視点を持つようにしようと感じた
- 前半のディスクドライブ絡みの事例の部分がちょっと冗長なので,その辺は飛びし気味で読むと良いと思う
- 本の最後の方にある「『イノベーションのジレンマ』グループ討議の手引き」は,チーム内でこの話題について話し合うのに役立ちそうなのでオススメ!