「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」を読んだメモ
「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】」を読んだメモです.
cf. アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】 | アトゥール ガワンデ, 吉田 竜 |本 | 通販 | Amazon
失敗の原因
- 無理
- そもそも解決できない
- 無知
- 解決策が見つかっていない
- 無能
- 解決策が正しく実行されない
現代では昔に比べ,無知より無能による失敗が多くなった.解決の仕方は解明されてきたが手順が複雑であり失敗する.
医療においては,超専門化によって複雑化への対応が進められたが,それでもミスはなくならなかった.
無能な失敗の回避方法
高性能な爆撃機の複雑な操作手順を正しく行うために,チェックリストが有効に働いた. チェックリストの内容は一見バカバカしいと思われる簡単なものだが,その効果は絶大である.
チェックリストの効能
- 人間の記憶力と注意力の危うさ,また手順を省く誘惑を回避できる
- チェックリストには時間がかかるが,全体の所要時間は短縮される
- プロセスが形式化し秩序が生まれ,非効率な検討や意思決定プロセスが回避される
- チェックリストは硬直化を招かない
- 単純な事柄をチェックリストが片付けてくれるので,人間は難しい問題に専念できる
複雑な問題への対応
問題のタイプは以下に分けられる.
- 単純な問題
- ケーキの焼き方など
- やや複雑な問題
- ロケットの月への飛ばし方など
- 再現性がある
- 複雑な問題
- 子育て,医療行為など
- 再現性がなく多様
チェックリストは単純な問題に対しよく作用することはわかるが,複雑な問題に対してはどうか?
建築における例
- 医療と同様に複雑多様化し,1人の人間が全てをやるのではなく超専門化された
- 複雑な問題を分解した個々の層のチェックリスト(単純な手順の間違いを防ぐチェックリスト)とは別に,それぞれの層がコミュニケーションをするための「提起スケジュール」もチェックリスト化した
- 予想外・不確実なの問題に対応するためのチェックリスト
- 「人」は誤りやすいが,「人々」は誤りにくい
つまり
複雑な問題への対応は,権限の分散(自由と制約の適度な配合)が有用である(=対照的な2つのチェックリスト).
良いチェックリストとは
- シンプルで,明確で,細かすぎず,重要な手順だけを忘れないようにさせる実用的なもの
- 入れるべきでないものは入れない
- チェックリストはマニュアルではなく,熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具である
- 一時停止点(いつチェックを行うのか)をはっきりと決める
- 1ページに収める
- 余計な装飾や色使いは避ける
- フォントはサンセリフを使う
- 必ず実世界で試用(テスト)する
手術においても,チェックリストの洗練と実地でのテストの繰り返しおよび改良をすることによって,大きな効果が証明された. バリュー投資についても同様の事が観測された.
本書で面白かった話
- チェックリスト自体が機能しているかチェックするために,試金石を入れ込んでおく
- ロックミュージシャンが「茶色のM&Msだけ除いて用意すること」とリストに入れておき,茶色のM&Msがあったら重大な問題が発生している可能性があることがわかる,という話
- 活性化現象
- 最初に何かを言う機会を与えることで,当事者意識と責任感が高まる