「エンジニアの知的生産術」を読んだメモ
西尾 泰和著「エンジニアの知的生産術」を読んだメモです.
cf. エンジニアの知的生産術 ──効率的に学び、整理し、アウトプットする (WEB+DB PRESS plusシリーズ) | 西尾 泰和 |本 | 通販 | Amazon
全体
- 経験のあるKJ法や,好きな外山滋比古氏の理論がよく引き合いに出されていて,全体的に理解しやすかった
- 第6章「アイデアを思い付くには」が自分にとっては一番理解が難しかったが,フレームワーク依存問題など陥りやすい罠や持つべきマインドが解説されていたのが良かった
- 著者の理論モデルが多くの過去のモデルから成り立ってきたのが読んでいてよくわかり,出典が逐次提示されているので,理論のトレースがしやすい本だと感じた
- 折に触れて読みたい本だった
第1章 新しいことを学ぶには
- 学びのサイクルは情報収集,モデル化,検証
- インプットしたもののまとめや他者への説明などのアウトプットは検証の有効手段
- 自身のインプットのやり方に欠陥があることを思い知った
- 他人が確立したモデルをそのまま自身に取り入れようとして,理解した気になってうまく活用できていなかった(p43 パターン本から学ぶ)
- 読むのが遅く,遅すぎて全体像が掴めない悩みがあったが,全部を読もうとするのではなくつまみ食いをすることが大事
- そのために目標を明確し,全体像を把握する
- 時間は貴重なのだから,遅延評価的勉強法を考慮したインプットを心がけたい
- やる気を維持するために「ゴールを明確にする・近くする」は普段よく考えていて共感できた
- やる気に関する問題は,最近読み直した「モチベーション2.0」の自律性・卓越・目標の3点に共通していると感じた
第2章 やる気を出すには
- 7つの習慣の「重要事項を優先する」における緊急・重要マトリクスおける「重要かつ緊急」を減らし,「緊急ではないが重要」を増やす(緊急性分解理論)
- GTDでは,価値観はボトムアップで言語化する
- 優先順位付けは比較軸や不確定性から比較が難しく,日々の具体的なタスクを観察(計測)しながら事後的にできるようになる
- ポモドーロテクニックはタイムボックスで終わりを設定することでやる気を持続させるが,スクラム等の手法も同様に感じた
- 通知や割り込みを緊急性の高さと勘違いしてしまうのは陥りやすい罠なので,マインドセットや仕組み化が大事に感じた
- 7つの習慣の「終わりを描く事から始める」はとても共感しており,仕事において必ず意識するようにしているので,本書でも取り扱っていて良かった(終了条件や目的を置かずに仕事をする人のなんと多いことか!)
第3章 記憶を鍛えるには
- 反復的にアウトプットするのが長期記憶化のコツ
- 認知的に高度な作業をした方が記憶にとどまる
- 不適切な難易度によるモチベーションの低下は経験が多々あり,Ankiの自動保留の仕組みはよいアプローチに感じた
第4章 効率的に読むには
- 開いている本・閉じている本(筆者の結論の有無),登山型の本・ハイキング型の本(概念の積み上げの有無)という捉え方は初めてだったので新鮮だった
- 準備の大事さ,段階的詳細化,繰り返し読むこと,のコンセプトは今後の読書で意識していきたい
- Whole Mind System試してみる
- フォーカス・リーディングとあなたもいままでの10倍速く本が読めるは読んでみようと思う
- 遅読家で,理解が悪いことと認識しながら読書法の改善を図っていなかった
- おそらく1度通して読んでおわりと考えているから,読み漏らすのが怖くて時間をかけ過ぎて読んでしまっているのだと思う
- そこで次回の読書からやりたいこと
- アウトプットを前提として読むこと
- 1ページ目から通して読まないこと
- 具体的な方法(仮)
- 目次と導入から読むところを絞りつまみ食いする
- 章ごとに感じたことや意見や疑問をまとめる
- 目次に戻り全体マップでの位置を把握する
- 以下ループ
第5章 考えをまとめるには
- KJ法のA型図解化/B型文書化のステップは知らなかったので実践してみたい
- 新しい構造を生むために,分類を先に決めてトップダウンする(KJ法をやる意味がなくなる)のではなく,ボトムアップで分類する
- 手法のチューニングは確かに大事だが,いきなりチューニングするのではなく,まずは守破離の守のステップとして原則に倣うのが良さそうに感じた
第6章 アイデアを思い付くには
- U理論の谷を下りるために,他人の視点を大事にすることや,SECIモデルを意識することや,フレームワークにしがみつかないことが肝要(自分の枠を壊す必要がある.KJ法において分類を先に付けないことと似ている)
- 他人の視点を理解するために,クリーンな質問(Clean Language)や絵に描くことやNM法などで,抽象概念やメタファから身体的感覚の(具体的な)イメージに解凍する
- なかなか理解が難しい章だった
- アイデアが生まれるのは管理できるものではないという考えは外山滋比古氏から学んでいて違和感がなかったが,アイデアを検証するという考えは自分にとって斬新だった(普段業務で触れているリーンスタートアップの考えなのに,個人のアイデア発想にそれを適用する考えを持っていなかった)
第7章 何を学ぶかを決めるには
- 数学と科学では,正しいということの捉え方が異なり,個人の意思決定はそれらとも異なる
- Steve JobsのConnecting Dotsは事後的にしかわからないので,戦略をベースに学ぶしかない
- かけ合わせ(ふたこぶの知識)や連続スペシャリストによる差別化戦略はよく意識していて,意図的に学ぶものを選択することがあったのでとても共感できた
- いままで社内でひとつの部署に留まらず色々な部署を転々としてきていて,そのことにデメリットを感じていたが,戦略として有効に考えるきっかけになった(人や組織,コミュニティを横断する知識・役割を基盤に成長する)