ottijp blog

日本在住のエンジニアが米国App Storeでアプリを公開する時にTax Informationに設定した内容と結果

2018/09/25 更新

  • 申告フォームの画像が不鮮明だったので入れ替えました
  • 2回売上の入金があったので,「結果」に現状を記載しました

今回はじめてApp Storeに有料アプリを公開しようとしたところ,レビューは通ったのですが,アプリの状態が”Pending Contract”になったまま公開されませんでした.

調べたところ,「契約/税金/口座情報」のセットアップが完了していなかったからでしたが,その中でも特に税金の項目での入力に迷ったところがあったので,

  • 調査したこと
  • 判断したこと
  • 実際入力(申告)したこと
  • 結果

をまとめます. なお,契約と口座情報については,Webで検索すると出てくる情報の通りに入力して問題なさそうで,そんなに迷うところはありませんでした.

なお,基本的にWebの情報を元に個人の判断で行っているため,この方法でやればOKというわけではなく,個々の状況により適切な入力(申告)は異なると思うので,参考程度にしてください.

本記事作成者は税法等の専門家でも何でもない素人です. 確実な対応が必要な方は,個別に税理士さんへの相談などをしてください.

この手の情報って毎年引っかかる人が出て来る気がするんだけど,なぜか2010年前後の情報は多いのに,最近の記事は少ないんですよね.なんでだろう?

調査したこと

EIN, ITIN, SSN, iPhone(iOS)アプリ,課税, 免除, 申告, taxpayer identification number, などで検索するといっぱい出てきます. 要は,米国のApp StoreでiOSアプリを販売する場合に,何もしなければ米国と日本で重複課税されてしまうのですが,

  • 重複課税の免除申請をしたいが,EIN, ITINを取得する必要があるのか?
  • iTunes Connectの「税金(Tax Information)」にどのように入力すべきか?

という点が迷いどころだと思います.

たぶん間違いないこと

  • 基本的に米国での販売→日本の口座への入金で重複課税される
  • SSN(社会保障番号)は日本在住の人はまず取れない
  • EIN, ITINとは別に料金収納代行業者(iOSアプリの場合Apple)へW-8BENというフォーマットを提出する必要がある
  • EINもITINもW-8BENも申請代行業者に頼むと数万円かかる
  • EINもITINも取得に時間がかかる
    • 英語で電話できるなら10分
    • FAXなら1-4週間?
    • 郵便なら1-2ヶ月?
  • ITINは5年の有効期限がある
  • iTunes Storeで設定した税金(Tax Information)は簡単には変更できない

正しいかあやしいこと(各Web情報で矛盾していたこと)

  • EINは法人しか取れない(個人は取れない)
  • EINは個人事業主も取れる
    • 個人事業主とは勝手な申告(「私は個人事業主です」と言ってしまえばいい)
    • 個人事業開業届を出す必要がある
  • EINは継続的な事業を行っていない場合,後でバレると怒られる(事業性が重要視され,適用されない場合追徴課税される)
  • EINは米国で事業(雇用者がいる,事業所がある,固定資産がある)していないと取れない

判断したこと

記事の信憑性や情報の新旧を鑑みて,私は個人的に次のように判断しました.

前提

  • 有料iOSアプリを米国を含むApp Storeに公開する
  • アプリ作成者の属性
    • 日本国籍
    • 日本在住
    • 日本国企業のサラリーマン
    • 米国事業所無し
    • 米国雇用者無し
    • 米国固定資産無し
    • 米国グリーンカード無し
    • 米国VISA無し
    • 法人設立無し
    • 個人事業者届け無し

税務の考え方

  • W-8BENを提出することで,EINもITINも取得することなく重複課税を免除される
  • W-8BENは3年毎に更新の必要がある
    • 更新通知されるのか自身でアクションが必要なのかは不明
    • 何も通知は来ませんでしたので,自分からアクションしました(2022-02-05更新)
  • W-8BENの中で取得済みのEIN/ITINを記載することで更新期限なく重複課税が免除される(ITIN自体の更新は必要)

税務の考え方で一番拠り所としたのは↓のサイトです(が,判断は私個人がしてます.)

連邦税の「Form W-8BEN」と源泉徴収【詳細解説】 | 汐留パートナーズ・ハワイ進出支援&会社設立代行

実際入力(申告)したこと

正直ほとんど売れる見込みの無いアプリの公開だったので,EIN/ITINを取得するのはしんどいと思い,EIN/ITINは空欄にしてW-8BENを提出しました. 具体的には↓の画像のように入力しました.

appstore 01

結果

申告したばっかりなので,重複課税されたかどうか,もし売上・入金が発生したら後日記載します.

2018年7月と10月に入金されました.

どちらも,売上からAppleのコミッション(取り分)を除いた分が銀行口座に入金されていました. (↓の画像のようにiTunes Connectで「税金と調整」の項目はすべて0でした.)

appstore 02

そこから,次の2つの可能性を考えています.

  1. W-8BENを提出したため,米国での課税はされなかった
    • 日米租税条約により源泉徴収が免除された
    • 日本で入金分を収益として確定申告すればよい
  2. 米国で源泉徴収が年末などに行われる
    • Appleからの支払額に応じて源泉徴収が年末などのタイミングで行われる
    • 確定申告時に外国税額控除のような処理を行う

たぶん1で合ってると思うので,入金額をベースに確定申告する予定ですが,もし源泉徴収がこのあと発生したらまた追記します.

参考


ottijp
都内でアプリケーションエンジニアをしています
© 2024, ottijp